涙は、油分・水分・ムチンの層からできており、水分が蒸発しないように、表面に一層薄く油層がのっています。その油を分泌しているのが、まつ毛の生え際にあるマイボーム腺です。このマイボーム腺の出口が細菌感染などによってつまると、涙の中の油分のバランスが崩れて、目が乾きやすくなったり、涙目になったり、炎症が起きたりします。これをマイボーム腺機能不全(Meibomian
Gland Dysfunction, MGD:以下、MGDと略します)といいます。
ドライアイは、「涙の水分が少ないタイプ」と「涙のあぶらが足りないタイプ」があり、MGDになると「涙のあぶらが足りないタイプ」のドライアイにつながります。最近の研究では、MGDにともなう「涙のあぶらが足りないタイプ」のドライアイが、ドライアイ全体の8割以上と圧倒的に多いことがわかってきました。涙のあぶらが足りないタイプは点眼治療では改善しない場合が多いのです。そこで当院ではMGDに対する新しい治療IPLを導入しました。
ドライアイに関わる各検査を非侵襲的に定量化することのできる機械がidraです。
ドライアイかどうかを診断し、水が足りないのかあぶらが足りないのかを検査します。
この機械で
IPL治療は、レーザーよりも幅広い波長の光をカメラのフラッシュのように極短時間照射する治療です。長年にわたり、皮膚科、美容皮膚科領域で使用されています。 これを眼科領域に応用したドライアイやマイボーム腺機能不全に対するIPL治療は、国際的なドライアイ治療ガイドライン(TFOS DEWS Ⅱ、2017年)でも推奨されており、アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国、台湾などアジアの国々でも行われています。
IPLには以下のような作用があると考えられています。光で皮膚の深部を温めて、マイボーム腺のあぶら (マイバム)を溶かす作用
当院では IPL治療機である AQUA CEL(アクアセル)を 用いて施術を行います。
IPLの施術は5分~10分程度で終了します。
重症度やこれまでの罹病期間にもよりますが、3週間から4週間おきに4回以上治療すると効果が高いと報告されています。
施術時に、瞬間的にぴりっとした痛みを感じることがあります。
皮膚の状態や皮膚の色により、施術部位に赤み、ほてりやひりひり感がでたりすることがあります。
ごくまれにかさぶたや水ぶくれができることがあります。
気になる場合には冷却をおすすめします。
IPL治療は光治療です。以下の方は施術できません。
ドライアイ・マイボーム腺機能不全 に対するIPL治療は、健康保険適応外のため自由診療です。
薬の処方を希望される場合は、 自費で処方いたします。 他の保険診療と 同日に施術することはできません。
LIME 研究会は、現在、眼科で急増しているマイボーム腺関連疾患の研究促進ならびに治療の質の向上と普及を目的として2012年2月に発足されました。
LIME研究会のサイトではマイボーム腺機能不全の症状や、ご自宅で毎日できる簡単なマイボーム腺ケアの方法など、世界的に新しい知見の解説や珍しい症例、役に立つ情報などが発信されています。是非ご覧ください。